読書:統計学が最強の学問である

統計学が最強の学問である

統計学が最強の学問である

 

評価:3.5点(5点満点)

読み物としてというより、終章に書かれているエビデンスの探し方が参考になる。

 

[動機]

統計学を勉強するにあたってとっつきやすそうな本を探していたので。

 

[サマリ]

統計学は最強。なぜなら統計学は最善最速の正解を出すから。特にITの発展にともなって様々な分野で統計学が活かされるようになった。

サンプリング、誤差と因果関係、ランダム化、といった点が統計学のポイント。

評論家の適当な発言に騙されずに、エビデンスを探してみよう。

 

[引用(太字はドルミです)]

[p.p.281-284]  ではどのようなエビデンスがよいのだろうか?こと人間に応用すべきエビデンスとして重要視されるのは、「実際に現実的なシチュエーションで、ある程度の数の人間を分析した結果」である。こうした研究の方法として、みなさんはすでに疫学などの観察研究とランダム化比較実験があるということをご存知のはずだ。そして、ランダム化比較実験によって示された結果は、ある一点を除いてほぼ間違いなく信用できる「妥当な因果推論」だということも学んだはずである。ランダム化比較実験において唯一残された課題は、研究の対象となった人間が大抵の場合、全国民や全人類から選ばれたランダムサンプリングなどではない、ということである。大学生だけとか、医者だけとか、70歳以上の老人だけといった限られた集団の中では確かに妥当な推論ができたとしても、「他ではどうなのか」という批判をかわしきることはできない。そこで行われるのが。系統的レビュー(systematic review)とメタアナリシス(meta-analysis)である。レビューとは複数の研究をまとめて結局のところ何が言えるのかを述べることである。(中略)系統的レビューはあらかじめ「レビューする論文の条件」を決めたうえで、過去に公表された関連分野の文献すべてから条件に該当するものを選び出す。先ほどの例で言えば、「未成年 犯罪 ビデオゲーム」という単語を含み、少年犯罪とビデオゲームとの関連性について何らかの統計解析が行われた論文すべてを収集・分析し、その結果どういうことがわかるかという結論をまとめるのである。これはほとんど主観などが含まれない「現時点での最善の答え」となるはずだ。なお、メタアナリシスとは、こうした系統的レビューの中で、複数のランダム化比較実験や観察研究の中で報告された統計解析の結果を、さらに解析してまとめあげる作業のことをいう。「解析(analysis)に対する解析(analysis)」だからメタアナリシスというわけである。系統的レビューとメタアナリシスを頂点として、エビデンスのヒエラルキーは図表56のように整理される。専門家の意見や基礎実験よりも観察研究のほうが、そしてさらにランダム化実験のほうが信頼すべきエビデンスであり、複数のランダム化比較実験や観察研究をメタアナリシスして得られた結果は今のところ最善の答えだ、というのである。

 

[p.p.281-291]  系統的レビューとメタアナリシスの結果は、人類全体で共有すべき「最善の答え」であるから、さまざまな分野でその結果を集めて共有しようという取り組みがなされている。(中略)それ以外の一般的な論文データベースの中で、キーワードに「meta-analysis or "systematic review"」と含む検索を行うというやり方もある。

(中略)さきほどのエビデンスヒエラルキーに沿って、まず探すべきは系統的レビューの結果を探したい。(中略)検索すべきトピックは「雇用 政策」、それに加えて系統的レビューやメタアナリシスを示す単語である、「系統的レビュー」「システマティックレビュー」「システマチックレビュー」「メタアナリシス」「メタ解析」のいずれかを含む論文を実際に検索してみた。(中略)そこで英語を恐れず、Google Scholarで先程と同様の検索をしてみよう。(中略)システマティックレビューを探すなら"Systematic Review"か"Meta-Analysis"という単語を、ランダム化比較実験を探すなら"Randomized"という単語を、観察研究なら"Hechman" "Propensity Score" "Regression"といった単語を用いればいい。

  

統計学が最強の学問である

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