読書:不格好経営

不格好経営―チームDeNAの挑戦

不格好経営―チームDeNAの挑戦

  

評価:3.5点(5点満点)

DeNAについて知りたいということであれば推奨。俺個人としては南場さんの考え方がすごく自分の考え方に近いと感じたのでこの本に出会えて良かった。もっというと毛嫌いしていたDeNAについての認識を改めるきっかけになった本。

まえがきにもあるが、1章、3章-6章はDeNAの歴史、2章は南場さんの生い立ちについて(お父様が大前さんのことをご存知だったのにはびっくり)、7章は南場さんの経営についての考え方(キャリアについて考えている方は是非この章だけでも!)8章は現在のDeNA、という構成。「不格好」というタイトルの割に、全然不格好じゃないと感じたのは俺だけか。

 

[動機]

南場さんには興味があったのと、コンサルの方が起業するとどうなるんだろうという好奇心から。

 

[サマリ]

DeNAの歴史を時系列にまとめながら、その時々で(トラブル含め)どういうことが起きていたのかを振り返りながら、主要メンバーについても言及。上記以外に南場さんの生い立ちと経営に対する考え方についても述べられている。

 

[引用(太字はドルミです)]

[p.136]

DeNA Quality

  • デライト(Delight)
  • 球の表面(Surface of Sphere)
  • 全力コミット(Be the Best I can be、個人的には"I"と一人称な所にこだわりを感じて好き
  • 透明性(Transparency & Honesty、訳されていないけどHonestyが入っていることに共感
  • 発言責任(Speak Up)

どれもすごく重要だと思う。

同社Webに掲載されているので詳細はこちらを参照。

 

[p.201]  私は10年以上マッキンゼーに在籍して(中略)、事業リーダーに経営アドバイスをしていたが、いざ自分が事業リーダーになった途端、新しくみにつけなければならないこと、そして「unlearning(学習消去)」しなければならないことがとても多く、本当に苦労した。

 

[p.p.202-205]  私が何に苦労したか。まず、物事を提案する立場から決める立場への転換に苦労した。面食らうほどの大きなジャンプだったのだ。(中略)さあA案実行だ、となるとその日から想定外の壁が次々と出現する。企画通りにはいかないな、とひぃひぃ言いながら皆で実行しているうちに、「やっぱりB案だったのかな・・・」と誰かが言い出し、皆がホワイトボードを思い出す。僅差だったよね、あの◎、本当は怪しかったよね、と。そして皆が不安になり自然とブレーキがかかる。ちなみにB案を選択していてもまったく同じことが起こる。(中略)意思決定のプロセスを論理的に行うのは悪いことではない。でもそのプロセスを皆とシェアして、決定の迷いを見せることがチームの突破力を極端に弱めることがあるのだ。検討に巻き込みメンバーは一定人数必要だが、決定したプランを実行チームに話すときは、これしかない、いける、という新年を前面に出したほうがよい。本当は迷いだらけだし、そしてとても怖い。でもそれを見せないほうが成功確立は格段に上がる。事業を実行に移した初日から、企画段階では予想できなかった大小さまざまな難題が次々と襲ってくるものだ。その壁を毎日ぶち破っていかなければならない。迷いのないチームは迷いのあるチームよりも突破力がはるかに強いという常識的なことなのだが、これを腹に落として実際に見につけるまでには時間がかかった。(中略)事業リーダーにとって、「正しい選択肢を選ぶ」ことは当然重要だが、それと同等以上に「選んだ選択肢を正しくする」ということが重要となる。決めるときも、実行するときも、リーダーに最も求められるのは胆力ではないだろうか。

 

[p.p.214-215]  なぜ育つか、というと、これまた単純な話で恐縮だが、任せる、という一言に尽きる。(中略)ギリギリな仕事を任せれば当然、失敗するリスクもある。でも、不思議と人は顕在化している能力の数倍の能力を有していて、本人も驚くような大仕事をやってのけるものである。

 

[p.236] 会社に迷惑をかけたくないと遠慮する人が多い。でも、ときには会社の仲間や社会に頼るのもよいではないか。得るものと与えるものは、その瞬間でバランスがとれている必要はない。時間をかけてバランスさせようと努めればよい。かけた迷惑の分だけ、感情のヒダも豊かになる。できるときに仕事を頑張ったり、ほかの人を助けたりしていけばよいと思う。(ドルミ:"女性として働くこと"という節からの抜粋だけど、これって男性にも当てはまると思うので引用)

 

不格好経営―チームDeNAの挑戦

不格好経営―チームDeNAの挑戦